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そこにある歌碑に刻まれた「菜の花の遥かに黄なり筑後川」の句は、みのり豊かな筑後平野と雄大な流れの筑後川を望み、文豪夏目漱石が久留米を訪れた際に詠んだものです。3月、一説には養蜂家が種を蒔いたともいわれる菜の花が、筑後川や巨瀬川の河川敷を一面黄色に染め上げ、文豪も心打たれた風景がどこまでも続きます。

内山緑地のハクモクレンとコブシ


しだれ桜

田主丸の桜の名所は数知れず。春、桜咲く平原公園は、とっておきの風景です。
 そして、江戸時代、農民たちが生きるために枝一本から生業を生み出した歴史をもつ「植木・苗木発祥の地」、田主丸。山麓の植木畑は、まさに花の競演となります。耳納連山を背景にしたその色あい花の香りを楽しみながらの散策も楽しい季節です。 
 中でも、全国に誇る環境緑化産業、内山緑地の四季の花木咲く圃場は全国でも珍しく一般開放されています。3月中旬のハクモクレンにコブシ、下旬に一足早く開花するしだれ桜など、歳月と技術を感じさせる感動的な花の風景に出会えます。
 この季節、山苞の道沿いの筑水庵近くのモクレン谷も、山の中を明るく照らすような白い花が幻想的な風景です。


 田主丸町は富有柿の一大産地。4月下旬から、耳納山の麓は、柿若葉のエメラルドグリーンに輝きます。早生は5月上旬、富有は5月の20日前後に咲く、白く可憐な柿の花。この時期、柿園では、大きく綺麗な柿の実を収穫するために、時期に応じて花や蕾、若い実をひとつひとつ手で間引く作業に追われます。 新緑につつまれたその風景は、初夏を告げる風物詩です。


柿の摘果の風景

4月、露地栽培の巨峰の花が咲きます。やがて一房ごとにハサミを入れ、かたちを整える花芽のセットが始まり、5月は摘果の最盛期。まだ青いぶどうにもう一度手を入れ、玉を間引きする玉ぐけが終わると6月は袋かけ。巨峰のあの見事な一房は、根気のいる手作業から生まれる、まさに芸術作品です。


巨峰の花


巨峰の赤ちゃん



耳納連山の紅葉


安超寺の大銀杏

 

 山辺一面が柿の紅葉に染まる12月初旬、耳納連山の広葉樹林も紅葉が始まります。日頃は青く屏風のように連なる山も、九十九あるともいわれる峰々が赤や黄色に色づき、思いがけない奥行きを見せる季節です。
 春は桜で知られる平原公園は、秋の紅葉の名所でもあり、その自然林の奥行きが織りなす風景は見応えがあります。安超寺の樹齢350年の大銀杏の落ち葉つもる風景も、また風情を感じさせます。


シクラメンの出荷風景

 つつじ、ツバキはもちろんのこと、アザレア(西洋ツツジ)、シクラメン、初恋草など、全国に誇る花のブランドを持つ田主丸。新たな品種をつくり出す育種に取り組み、さまざまな賞に輝く花農家も多く町内の園芸店では、珍しい品種に出会うことができます。


ハルサザンカ観音寺

 まだ花のない11月頃、生垣や植木畑で出荷の時を待つ町中のサザンカが色とりどりの花をつけます。白梅、紅梅、しだれ梅と、2月からは、まさに花木の競演。イエローワンマンカーの久大本線の車窓の風景も、春色に染まります。

 中でもハルサザンカは「春咲きのサザンカ」を意味し、江戸時代から園芸種としての栽培記録が残るサザンカの品種です。田主丸町の石垣観音寺には、「観音寺」と名づけられた、そのハルサザンカの原木があり、樹齢350年と推定され、植木・苗木生産地久留米を象徴する木です。まだ肌寒い頃から咲き始める時を重ねた美しい花の姿は、人々を魅了してやみません。


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